やっぱり科学!100mSvでも大丈夫!!

http://www.foocom.net/column/editor/3827/

ポエム(次のヘッダーから少し松永さんの記事へのツッコミと疑問)

国家とか、憲法とか、社会契約論とか、コー言う話を正当化する1つの話にゲーム理論の方向から、帰結主義的に擁護する方向があるようだ。それで権利が最大化できるのなら、それはそれで万々歳。囚人のジレンマのような状況になりお互いにバカをみるのは、誰だって勘弁してほしいと思うはず。

でも今回の被曝の話ではどうだろう。たとえば、200ベクレル/kg以上の野菜は全部アウト。なんてしたら、経済が止まるし食料も足りなくなるのかもしれない。

どうせ誰にも買われなくても、そういう誰にも変われない物が流通することで0Bqの野菜が手に入るのかもしれない。スーパーは大変だ。ここで思い出す。国家という単位は重要ではなく、最適な単位、権利が滞り無く守られるような規模。それが重要。それはいつもの社会契約論の話の範疇。

ゲーム理論で考えて、みんなでリスクを分散した方が科学的だし合理的だ。結果としてみんなが助かるんだ。そうかもしれない。それは真理ですらあるのかもしれないし、後世の歴史家が後知恵的に言い得る最適解ですらあるのだろう、としてもいい。

それでも、なんか違和感があった。では自白するべきなのか。どこまで、だれまで、自白すればいいのか。もう少し黙秘権を行使していれば自白するまでもなく釈放されるのではないか。もしかしたら結果的に裏切られる形になってしまうかもしれない。

誰もそんなつもりはなかったのに、自分だけが馬鹿を見てしまうのかもしれない。何もここまで話を大きくする必要はないのだろう。僕としては、近所のスーパーがバッファになっているように見える。

もちろん、近所のスーパー以上に被害をこうむっている生産者の方々もいるのだろう。だけど、それは僕にとっては外国の話だ。僕の国は近所のスーパーやデパ地下やコンビニ。別にセカイ系を気取っているわけでもなく、それが生活の規模ってだけの話。


じゃぁ、外国の人は誰が守ってくれるのか。それはやっぱり外国の人の国だろう。では生産者はどこの国に属しているのか。どこの国でもないのかもしれない。ならば日本政府君の出番かもしれない。

出番は間違い無くあるべきだろう。でもきっと彼は永久欠番。震災の被害者はそれなりに雀の涙だとしても補償はされるだろう。でもその周りの人達には募金すら届かない。


原発周辺に至っては半径数十キロで国々が被害を受けた。全国の国々が食糧支援をしなければならないだろう。被災した商品も、近隣の国々が買わなければならないのだろう。

そう、結局、半径数十キロの話なのではないか。僕は近所のスーパーで、汚染されていそう野菜を買わない。あるいは買うことで支援できる。だけど、他の国の人達に買えとは言えない。買って捨てようとなら言えるけど。

僕は同じ国の人に買えとは言わない。言うべきではない。僕が買いたくないとか、無知のヴェールとか、そういう話でもなく、国との契約が破棄されるなら、自分の権利は自分で守らなければならない。パルチザン戦なのだろうか。

物が売れないのは風評被害なのかもしれない。これの定義もそもそもよくわからない。人によっては減員の有無で風評か否かを峻別してはいるようだ。往々にして、否と言われた場合は個人の趣味の問題または合理判断とされる言が多いように思われる。

だが、そもそもとして、この現象自体がよくわからないものなのではないだろうか。方法的にか、少なくとも便宜上には、上述のように分類できるのだろう。だが、この風評被害と称される周辺の自体は、パルチザン戦なのではないだろうか。


まぁ、比喩としては裏っ返った話でもあるのだろう。風評被害においては、被害者が攻めこんできているようなものだ。そして迎え撃つパルチザンは竹槍なんかではなく最新鋭のフル装備って具合だ。

これは受け答えになっているのか??

 でも、でも、である。なんだかごまかされたような気がしないか?
 「微量の放射線のリスクを区別できないとか、ほかの要因があるからわからない、なんて、単なる調査不足でしょう。そのことを棚に上げて安全だ、なんてとんでもない」と思う人がいるのでは?

ここで言う「調査不足でしょう?」という疑問は、「ある任意の事例において統計が得られるだけしっかりと科学的に調査されているのですか?...(a)」ではなく、「もしも100万人とかの事例が、あと100個あれば今は見えていない統計的事実も見えてくる可能性があるのでしょう?...(b)」という意味だと思うんだ。

 そうではない、と私は考える。100mSvよりも少ない放射線被曝がもたらす小さなリスクは、最低でも10万人以上の人々を10年以上にわたって調査しないと、なにも言えない、示せない。しかし、事故にしても原発労働者の調査にしても、10万人を超える人たちが年間数十mSvもの放射線を被曝するような事例はそうそうあるものではない。
 少なくとも、チェルノブイリの事故は該当するが、その調査結果は「100mSv未満の放射線被曝ではがんリスクの上昇は見られない」である。

これは前者の(a)に対する答えにしかなっていないと思う。可能なら、(b)の方への回答も求むところ。

とりあえず、実効線量と甲状腺等価線量は分けて話して欲しい

 次には、大勢の人たちにこんな疑問が湧いてくることだろう。「大人はそうかもしれない。でも、子どもはどうなんだ? 子どもは大人よりも弱いはず」。チェルノブイリ原発事故では、約10万人の青少年が300mSv以上の甲状腺被曝を受けたと見られており、甲状腺がんが増加した。調査により、がんにかかった人たちの約4割は、放射線被曝が原因とみられている。
 しかし、チェルノブイリの子どもを対象にした疫学調査でも、100mSv未満の被曝による影響は見えてこない。おそらくそれほどリスクは小さく、ほかのがん化要因にかき消されてしまう、ということだ。

 なお、妊婦のお腹の中にいる胎児については、大人よりも弱い放射線で影響を受けやすく、特に妊娠初期は奇形、死亡など影響を生じることが分かっている。ただし、少なくとも100〜200mSv以上の被曝がないとこれらの影響が出ないと、チェルノブイリ原発事故等の調査結果等に基づいて考えられている。

現状でも日本政府は実効線量で100mSvを超えないと明らかな影響は認められないという立場に立ってはいたと思うが、暫定基準は甲状腺等価量で50mSv(実効線量に直すには組織荷重係数の0.05をかければいい。すなわち1/20であり、2.5mSvとなる)の内部被曝に至らないように定められていると私は理解している。(ただし、これだって、これから何回も原発での最初の1・2回のような超大規模な汚染が起きないという前提の話だった。これはこれで情報が錯綜したので何か書いといてほしいな。)

3月下旬の時点で、放射線の被曝が問題を考えなければならなくなった各分野の専門家の多くが実効線量と等価線量とを混同して誤った見解を示してしまった例が数多くある。正直言って、4月下旬にもなってこういう書き方をするのは勘弁してほしい。

ヨード剤を使わなかったのは失敗か否かの評価についても聞きたい

まずは新しい方、

Q2)どんな時にヨウ素剤をくばられるか?

A: 事故の規模などから計算して、甲状腺の被ばく線量が100mSvをこえると予測されたときにくばられる。

(注ー1) 小児が甲状腺癌になりやすいことを考慮してベルギーでは、0 から19 歳までの若年者、妊婦、授乳婦は10mSv、オーストラリア(0 から16 歳、妊婦、授乳婦)、ドイツ(0 から12 歳)、アメリカ(0 から18 歳、妊婦、授乳婦)では50mSv をこえると予測されたときにヨウ素剤を服用する。WHO も若年者(19才未満)に対しては、予測線量が10mSv を超える場合に服用することを推奨している。

どうやら実効線量(外部被曝と言ってもいいのか?個人的には「外部被曝内部被曝」なんて分けるから分かりやすいようで分かりにくくなった気がするんだが)ではなく、甲状腺の等価線量で100mSv〜10mSvだと思われる。

注釈の方は実効線量とも読めそうだが、古い方のpdfだと、

(1) IAEA は、実効性の理由から、安定ヨウ素剤予防服用に関して、介入レベル
として回避可能な放射線による甲状腺の被ばく線量100 mGy を、対象者の
性別・年齢に関係なく推奨している(14)。

この「回避可能な放射線による甲状腺の被ばく線量」は、防護措置を行わ
なかった場合に予測される被ばく線量から、防護措置を行った場合に予測さ
れる被ばく線量を差し引くことにより表される。例えば、防護措置を行わな
かった場合に予測される被ばく線量が100 mGy とした場合、防護措置とし
安定ヨウ素剤を放射性ヨウ素の体内摂取前又は直後に服用すると、甲状腺
への集積を90%以上抑制できるので、甲状腺の被ばく線量を90mGy 以上
回避することが可能となる。

これはつまり、予測される被ばく線量が111.1111mGyのときは、回避可能な放射線による甲状腺の被ばく線量が100mGyを超えるというわけだろうか。

上の例なら、100 - 10 = 90mGy って話のよう。まぁでも定義上はそうだけど導出は裸の放射線量にヨード剤による回避率をかけたものが100mGyになるようにしたってかんじか。

各国の安定ヨウ素剤服用に係る介入レベル等は、IAEA が推奨している安定
ヨウ素剤予防服用の介入レベルである回避可能な放射線による甲状腺の被ば
く線量100 mGy を考慮して、性別・年齢に関係なく全ての対象者に対して
一律に、各国の実状に合わせて決められている(参考資料Ⅰ)。
(2) WHO によるガイドライン(15)は、チェルノブイリ原子力発電所事故による若
年者の健康影響調査の結果を踏まえて、若年者に対する服用決定に関して
IAEA の介入レベル100 mGy の10分の1である10 mGy を、19歳以上
40歳未満の者については、100 mGy を推奨している(参考資料Ⅱ)。
なお、最近のIAEA/WHO の合同会議では、甲状腺発がんリスクの年齢依存
性を考慮して、若年者に対しては、より低い介入レベルで安定ヨウ素剤を服
用させることが議論されている(16)。

というふうに、過去において、WHOはIAEAより厳しい基準を推しているのだろうから、「WHO も若年者(19才未満)に対しては、予測線量が10mSv を超える場合に服用することを推奨している。」の10mSvは甲状腺への内部被曝を防ぐ指標であり甲状腺等価線量ということになるんだろう。

一応は書くが、10mSvが実効線量だとすると20倍の200mSvが甲状腺への内部被曝量になり、甲状腺等価量100mSvより緩くなり、過去の経緯と矛盾する。(まぁその後に方針転換があったかもしれんけどね!あと、実効線量から組織荷重係数を逆算して甲状腺被爆量をスルっと計算しちゃっているけど、これはこれで厳密には実効線量中の核種割合の問題がたぶんあり、雑なやり方かも知れない。もっとちゃんとしたやり方は大学の先生などに任せる。)

もしもカントが政府を批判するとしたら……

「政府の言うことは何も信じられない」と、「政府の基準は信じられない」とは、分けられるはずだ。少なくとも「信じる」というレイヤーが異なれば分けられるはずだ。では、同じレイヤーだったら。政府の言うことを端から信じる気がない人。政府の言うことに耳を傾けたが嘘しか言わないので、もう信じられないという人。

この2つは違うようで同じなのかもしれない。要はこの件ではない別の話で後者の工程を通過したのが前者なのかもしれない。単なるルサンチマンというさらに別の方向は置いておこう。あまり興味がない。

おそらくカントが批判する「嘘」が政府にあるとすれば、福島県下にある学校の被曝規制値についてだろう。小中学校が問題になるが、幼稚園がどうなっているのかは知らない。園児なんて福島には残っていないのか。管轄が違うらしい保育園はどうなっているのか。そこも話は聞かない。

政府がどんな値を基準値として示そうが、たとえそれが閾値ありのモデルによるものであったとしても、それは問題ない。大丈夫ではないかもしれないが「嘘」ではない。嘘なんてなかったと僕は思う。少なくとも、嘘はなかったと仮定してみよう。政府は100mSvまでなら大丈夫だと言った。20mSvでも大丈夫と言った。そこまでは正当と言える根拠があった。

だが、子供の20mSvは、今までの政府の根拠を反故にしている。「カントは真実を語れ!」と言う。一般的なイメージからすると、これは「真実の一部を語れ」であり、「嘘ではないが真実の全てではない」ことまで許容される。

どうやら自律という概念が彼には大事であり、自律こそが自由につながる。たとえ真実の言葉であっても、真実であるからって、嘘は言わないクレタ人だとしたって、真実に律せられては他律であり、自律ではない。真実と自律とを両立させることが可能な点、それが「真実を語れ!」なのであろう。

政府は信じられなくて問題ない。自律の精神的には。とりあえずそういておこう。だが、「子供も20mSvまで大丈夫」は、真実を語ってすらいない。私にはそう思えた。